協力とは何か

2025.09.25

協力とは何か

会議でそう宣言したものの、いまいちメンバーの足並みが揃わない…。そんな経験はありませんか?

「協力」という言葉は、誰もが知っている身近な言葉です。しかし、その本質を正しく理解し、効果的に実践できている人は意外と少ないのかもしれませんれません。

今回ご紹介する動画「協力アカデミー 基礎スキルコース『協力とは何か』」は、そんな「協力」のモヤモヤを解消し、誰でも学び実践できる「スキル」へと昇華させてくれる画期的な内容です。

この動画を見れば、なぜあなたのチームの「協力」がうまくいかないのか、その根本原因がわかり、具体的な解決策を手にすることができます。


動画はまず、「協力」の辞書的な定義から始まります。

広辞苑: 『ある目的のために心を合わせて努力すること』

大辞林: 『ある目的に向かって力を合わせること』

ここからわかる協力の最低限の要素は、①目的があること、そして②力を合わせること。なるほど、基本中の基本ですね。

しかし、この動画のすごいところは、ここから一気に人類史まで遡り、協力の起源を解き明かす点にあります。


今から約200万年前の旧石器時代。私たちの祖先は、生き抜くために「共同狩猟」という画期的なスキルを身につけました。

最初は、肉食獣が仕留めた獲物を仲間と威嚇して横取りする、というシンプルなものでした。しかし、やがて道具を使いこなし、大型の獣を計画的に狩るようになります。

この進化の過程で、協力の4つの基本モデルが生まれました。

2. 協力モデルキャンバス

目的の共有:「あのマンモスを狩って、食料を手に入れるぞ!」

役割分担:「お前は追い込め」「俺が槍で牽制する」「私がとどめを刺す」

共同実行:それぞれの役割を、タイミングを合わせて実行する

成果の分配:手に入れた肉を、みんなで分け合う

この「狩り」の例え、非常に分かりやすいですよね。そして、このモデルの中でも特に重要なのが4つ目の「成果の分配」です。


この動画で、講師が最も強調するのが「相利(そうり)」という概念です。

協力アカデミーのコースは、基本的にはそれぞれ独立しており、興味のあるものから学ぶことができます。しかし、よりスムーズに理解を深めるためには、最初の6つのコースを指定された順番で学ぶことが強く推奨されています。

“協力は、基本的には、この「相利」があって初めて成り立ちます。” 松原 明

「相利」とは、協力したそれぞれが、自分の取り分(利益)をきちんと得られること

先ほどの狩りの例で言えば、「命がけでマンモスを狩ったのに、自分は肉をもらえなかった」となれば、次から誰も協力しなくなるでしょう。ボランティアや自己犠牲ではなく、お互いにメリットがあるからこそ、協力的関係は継続するのです。

「力を合わせよう」「心を一つに」といった精神論だけでは、協力は機能しません。そこに参加者それぞれのメリット、つまり「相利」が設計されているかどうかが、決定的に重要なのです。


この動画の真骨頂は、この「相利」の考え方を、誰でも実務で使える具体的なフレームワークに落とし込んでいる点です。それが「相利評価表」です。

これは、協力関係を以下の7つの要素で分解し、分析・設計するためのツールです。

構成要素説明(旧石器時代の狩りの例)
複数の協力者狩人A、狩人B
各自の問題お腹が空いている
各自の目的自分のための肉を手に入れる
一人では実現困難一人では大きな獲物は狩れない
協力活動力を合わせて大型の獣を狩る
役割分担Aは槍で牽制、Bはトドメを刺す
結果としての相利AもBも、自分の取り分の肉を得た

講師の松原明は「定義は覚えなくても良い。この相利評価表を覚えてください」と断言します。

この表を使えば、あなたが関わるプロジェクトやチームの協力関係が、なぜうまくいっているのか(あるいは、いないのか)を客観的に点検できます。もし、どこかの要素が欠けていれば、そこを改善することで、協力関係を劇的に改善できるはずです。

この表を使えば、あなたが関わるプロジェクトやチームの協力関係が、なぜうまくいっているのか(あるいは、いないのか)を客観的に点検できます。もし、どこかの要素が欠けていれば、そこを改善することで、協力関係を劇的に改善できるはずです。


動画の最後で提示される「協力アカデミー」の協力の定義は、これまでの内容が集約された、非常にパワフルなものです。

『協力者それぞれが自分だけでは解決できない問題があり、その問題を解決するという目的のために、力を合わせた活動を役割分担をして行うことで、それぞれの(相利)の実現を目指すこと』

この定義のポイントは、「自分だけでは解決できない問題」からスタートし、最終的に「それぞれの相利の実現」を目指す、という構造にあります。

協力は、生まれ持った性格や、その場の“お気持ち”で決まるものではありません。今回ご紹介した動画は、「協力」が学習可能で、誰でも身につけられる「スキル」であることを教えてくれます。

チームの生産性を上げたいリーダーの方、組織の連携に課題を感じている方、そして、より良い人間関係を築きたいと願うすべての人に、ぜひ視聴をおすすめします。

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