2026.02.05
協力とは何か
ー「協力」の成立する条件は「相利(そうり)」であるー

この動画は(公財)トヨタ財団イニシアティブプログラム(2022年度)の助成にて制作しています
協力とは何か?
「協力」という言葉は、誰もが知っている身近な言葉です。しかし、その本質を正しく理解し、効果的に実践できている人は意外と少ないのかもしれません。
本動画では、「協力」を人類の歴史から紐解いて、協力がどのように生まれたのか、そして協力が成立する要素について分かりやすく説明しています。
本稿では、その要点を整理します。
「協力」の辞書的定義
まず、「協力」の辞書的な定義から見ていきます。

広辞苑: 『ある目的のために心を合わせて努力すること』
大辞林:『ある目的に向かって力を合わせること』
ここから分かる協力の最低限の要素は、①目的があること、そして②それ(目的)に向かって、力を合わせることです。

しかし、それでよいのでしょうか。
人類の協力は「狩り」から始まった
ここでは、「協力」を深く掘り下げて、人類の歴史で協力がどう発達してきたのかを見ていきます。今から約200万年前の旧石器時代。私たちの祖先は、生き抜くために協力して狩猟するというスキルを身に着けました。
最初は、肉食獣が仕留めた獲物を仲間と協力して威嚇して横取りする、というシンプルなものでした。やがて、大きな獲物を一緒に捉えるという目的を共有し、狩るようになりました。
こうして、協力行動を習得していく大きなきっかけとなった、とされています。
狩りで、協力の仕組みを考えてみると、以下のように整理できます。
それぞれの問題:お腹がすいた。でも、一人ではあの大きな獣は狩れない。

目的の共有:「あのマンモスを狩って、食料を手に入れるぞ!」

役割分担:「俺が槍で牽制する」「私がとどめを刺す」という役割分担をする

成果の分配:手に入れた肉を、それぞれが手に入れる。相利(そうり)を得る。

そして、このモデルの中でも特に重要なのが4つ目の「成果の分配」です。
「協力」の成立する条件は「相利(そうり)」である
協力を成り立たせるためには、協力者、問題、目的、活動、役割、相利という要素を満たす必要があります。

先ほどの狩りの例で言えば、旧石器人AさんとBさんがいて、それぞれが「お腹がすいたが一人では獲物は狩れない」という問題を抱えていて、目的は「肉を手に入れる」ことです。そこで活動で、「力を合わせて大型の獣を狩る」ことをします。

その際に、役割は、Aさんは槍で追い立て、Bさんがとどめを刺します。
相利は、取り分の肉を手に入れることです。
このように、協力者それぞれが、
自分だけでは解決できない問題があり、
その解決をするという目的のために、
力を合わせた活動を、役割分担をして行うことで、
それぞれの相利の実現を目指すことを協力と定義しています。

「協力」の基本フレームワークは、この定義を表にしたもので、「相利評価表」といいます。

「命がけでマンモスを狩ったのに、自分は肉をもらえなかった」となれば、次から誰も協力しなくなるでしょう。
ボランティアや自己犠牲ではなく、お互いにメリットがあるからこそ、協力的関係は継続するのです。
「力を合わせよう」「心を一つに」といった精神論だけでは、協力は機能しません。
そこに参加者それぞれのメリット、つまり「相利」が設計されているかどうかが、決定的に重要なのです。
まとめ
協力とは、それぞれが自分だけでは解決できない問題があり、その問題を解決するという目的のために、力を合わせた活動を、役割分担をして行うことで、それぞれの(相利)の実現を目指すことです。
ポイントは、「自分だけでは解決できない問題」からスタートし、最終的に「それぞれの相利の実現」を目指す、という構造にあります。
次は、ぜひ「合力(ごうりょく)の5類型」を学んでください。