2025.10.17
中間支援はなぜ必要?
いま、なぜ中間支援か
——“間”が動かなければ、善意は流れない
オンライン連続企画「中間支援のこれから」第1回のテーマはずばり「なぜ必要か」。
松原と実吉威さん(公益財団法人ひょうごコミュニティ財団:代表理事)は、現場と俯瞰の両目でこう指摘します。
地域には当事者、NPO、企業、行政、寄付者―
力になりたい人は多いのに、連携は会議で止まりがち。
その理由は、異なる利害を“共同行為”へ翻訳する設計機能=中間支援が薄いから。
しかも地方では、施設管理や講座提供に偏った結果、成果(アウトカム)を示しにくく、財源も行政委託に依存しがちで“ジリ貧化”が進む。
にもかかわらず国の施策は多主体連携を求め、中間支援の必要度は上がる一方。
このギャップをどう埋めるかが本論点です。
必要とされる5つの力
——翻訳・設計・接続・運営・評価
議論から浮かび上がったのは、中間支援のコア機能です。
①翻訳:NPO・企業・行政・寄付者の“違う言語”を、課題→目的→共有活動→役割→相利の一枚図で整える。
②設計:相手の相利>負担(役割)となる配合で、最小実行可能な共同行為(MVP)をデザイン。
③接続:寄付者・専門家・地縁組織・メディア等を“価値が逓増する順”で結ぶ。
④運営:募集・広報・当日運営・会計・報告までの標準オペレーションを用意し、属人化を防ぐ。
⑤評価:定量(再参加率・紹介比率・コスト回収)と定性(参加者の変化)で成果を可視化し、次の改善・資源調達へ接続。
実吉さんは加えて、「身近さの優位」を強調。
日常的に接しているから、書類では拾えない団体の実像や弱点を把握し、等身大の助言・伴走ができる。
これは全国の助成財団や大型NPOには代替しにくい、地域中間支援ならではの価値です。
合意を“あとから作る”
——プロトタイプ志向と資金循環の更新
停滞を破る鍵は進め方の転換です。
全会一致を待たず、小さく試す→成果を見せる→巻き込みが加速の順に回す。
さらに財源もアップデートを。
・伴走支援の有償化:
助成スキームや団体自己負担を組み合わせ、質の高い伴走に対価を生む。
・寄付者コンサルの確立:
寄付者の“叶えたい社会像”を丁寧に聞き、最適な団体・手段を提示。ここで間接経費を正当に確保し、非資金的支援(研修・評価・ネットワーク)に再投資。
・市民参加の設計:
寄付・ボランティア・プロボノ・会員など複数の参加メニューを各団体と共に整え、「参加が人を変え、組織を強くする」循環を育てる。
・政策への橋渡し:
現場データの集約と提言で、施設偏重からソフト(支援力)投資へ公共支出を誘導。
松原は、時代が公共多元論へ移行した今(行政×NPO×企業×地縁×寄付者)、中間支援は「連携の司令塔」であり、システムとしての解決(役割分担と再現可能な設計)を回す存在だと整理します。
今日からできる“3ステップ中間支援”
——小さく始め、確実に積み上げる
STEP1|一枚化
既存事業を、関係者/問題/目的/共有活動/役割/相利で見える化。抜けや過負担を特定する。
STEP2|MVP実装
最小の相手と最小の行為で試行。指標は再参加率・紹介比率・1人あたり運営コスト。相利>役割のバランスが崩れた箇所を即修正。
STEP3|資金と参加の二重循環
寄付者コンサルを常設し、寄付→支援力強化→成果可視化→再寄付のループを回す。同時に、参加メニューを増やし「足すほど楽しい・持続する」設計に。
―中間支援は、善意を行動に変え、行動を仕組みに変える“地域の加速装置”。
会議を増やすより、一枚の設計図と小さな実装から。
合意は、成果の後ろから自然にやって来ます。
次回は「求められる支援力」と「事業化の型」を掘り下げ、現場で再現できるテンプレートへ落とし込みます。