2026.01.19
【活動報告】担い手不足を超える鍵は「相利」——群馬県安中市磯部で開催した相利協創方式研修
1月19日(月)「協力のコツを実践でまなぼう」第3回

このプロジェクトは、令和7年度独立行政法人福祉医療機構 社会福祉振興助成事業の採択を受け実施しています。
NPO法人協力アカデミーの松原です。
今日は群馬県安中市磯部で、「相利協創方式」の研修を行いました。「協力のコツを実践で学ぼう」第3回です。
主催は群馬NPO協議会と協力アカデミー。本研修は、令和7年度独立行政法人福祉医療機構社会福祉助成事業の一環として実施されています。

午前は中間支援組織スタッフ向け研修(10名)、午後はNPO向け研修(15名)という二部構成でした。
午前:担い手不足をどう乗り越えるか
午前中は、中間支援組織が頻繁に受ける質問——「担い手不足をどうしたらいいのか?」というテーマに正面から向き合いました。

私はこの問題を、相利評価の2大公式
Si>C
H=L(1-φ)(1-Ghat)
を用いて分析しながら解説しました。
担い手不足の原因は、一般的には少子高齢化や人口減少だと考えられています。しかし実際には、「社会の役に立ちたい」と考える人は6割を超えているにもかかわらず、実際にボランティア活動に参加している人は1〜2割にとどまっています。この40年来変わらないギャップこそが本質的な問題です。
人が参加しない理由は、人口動態よりも「活動の仕組み」にあります。メリットが見えない、負担感がある、不公正感がある、無理強いされたくない、入りづらい——こうした要因が参加を妨げています。デジタル化や多主体連携を進めても、参加者側のニーズとずれていれば効果は上がりません。
そこで鍵となるのが「相利」という考え方です。
相利とは、協力するそれぞれの人が異なる利益を得られる仕組みのことです。たとえば地域猫活動であれば、NPOは殺処分減少を、住民は猫被害の解消を、町内会長はトラブル減少を、自治体は政策目標の達成を実現できます。価値観や立場が違っても、同じ活動を通じて各自の目的が達成できる設計が「相利」です。
協力は「お願い」ではなく「提案」です。
協力してほしい相手の困りごとや目指す姿を理解し、「この活動を一緒に行えば、あなたの課題が解決します」と提示することが重要です。
そのために活用するのが「相利評価表」です。関係者ごとの問題・目的・活動・役割・相利を整理し、相利(得られる利益)が負担(役割)を上回るよう設計します。まずは不公正感・無理強い感・負担感を下げ、そのうえでメリットを高め、入りやすさを改善していきます。
共感や啓発だけで人を集めるのではなく、参加者一人ひとりにとってのメリットを明確にすること。それが持続可能な多主体連携の鍵であることを強調しました。
午後:成果を設計する協力モデルキャンバス
午後はNPO向け研修でした。

ここでは「協力モデルキャンバス」を使い、各団体が成果を出すために、問題や目標をどう具体化し、測定可能にし、それをマネジメントにどうつなげるかを解説しました。
問題、目的、原因、解決策、目標、戦略、関係者、相利、拡大、強化、募集(人とお金)、調整——それぞれのパーツをどのように描くのか。どんなロジックを入れるのか。どう具体的に考えるのか。
4団体それぞれがキャンバスを用いて実践しながら、成果を「構造」として設計するプロセスを体験していただきました。

午前2時間、午後3時間、さらに個別延長30分。合計5時間半、ほぼ話しっぱなしでした。さすがに疲れましたが、それだけ密度の濃い時間だったということでもあります。
担い手不足という長年の課題も、相利という視点で構造的に捉え直すことで、打ち手が見えてきます。
理念や共感だけでなく、設計とロジックで協力を組み立てること。
安中での一日を通じて、あらためてその重要性を実感しました。