新しい協力者が増えない。どうしたらいい? 

2026.01.21

新しい協力者が増えない。どうしたらいい? 

— 共感モデルと相利モデルの違いを知り、協力の裾野を広げる —

この記事は独立行政法人福祉医療機構(WAM)の「令和7年度 社会福祉振興助成事業〈通常助成事業〉」の助成にて制作しています

NPOや市民活動、プロジェクト運営の現場で、

「協力者がなかなか増えない」という悩みはとてもよく聞かれます。

・大切なことをしているはずなのに、関心を持ってもらえない

・活動メンバーがいつも同じ顔ぶれ

・正しいことを伝えているのに、主体的に動いてもらえない

こうした悩みは、努力や熱意が足りないから起きているわけではありません。

多くの場合、「協力の集め方のモデル」が、今の状況と合っていないだけなのです。


協力アカデミーでは、協力の集め方を大きく2つのモデルに整理しています。

A:共感モデル

B:相利モデル

どちらが正しい・間違っているという話ではありません。

大切なのは「今、どのフェーズなのか」に応じて、適切なモデルを選ぶことです。


共感モデルは、最初に高い理念やゴールを掲げ、

それに共感した人に参加してもらう方法です。

たとえば、

「私たちは富士山の頂上を目指します。一緒に登りたい人は来てください」

と呼びかけるイメージです。

この方法は、以下のような特徴があります。

・最初から強い動機を持つ人が集まる

・即戦力として動ける

・スピード感のある活動に向いている

一方で、

・人数が増えにくい

・参加者が固定化しやすい

・負担が一部の人に集中しやすい

という側面もあります。

共感モデルは「巻き込み型」の協力づくりと言えます。


相利モデルは、最初から高い理念を求めるのではなく、

「参加しやすさ」や「やってよかった」という体験を入口に、

協力関係を育てていくモデルです。

ここで大切なのが「相利開発」という考え方です。

相利開発とは、

参加者にとってのメリット(利)と、

団体側にとってのメリット(利)が、

同時に成り立つ関わりを段階的に設計することです。

たとえば、

・健康のために軽い山歩きをする

・写真を撮るのが楽しい場所に行く

・趣味を共有できる場に参加する

こうした「小さな利」を入口にします。

最初から「富士山の頂上」を語る必要はありません。

まずは無理なく踏める一段目の階段を用意します。


相利モデルでは、次の順序を大切にします。

相利 → 協力 →(結果として)理念の共有

人が動き始める最初の理由は、

「正しいから」「理念に共感したから」ではなく、

「自分にも無理なく関われそう」「参加してよかった」という実感です。

小さな成功体験が積み重なることで、

自然と関わりが深まり、協力関係が育っていきます。


相利開発は、一気に深い協力を求めることではありません。

次のような階段を意識して設計します。

・見学する

・簡単な手伝いをする

・小さな役割を持つ

・企画や運営に関わる

この階段を相利の視点で整えることで、

「なんとなく参加した」が「ここは大切な場だ」に変わっていきます。


たとえば、

・来週の試合に勝つため、即戦力が必要な場合

共感モデルが向いています。

・活動やプロジェクトを長く続ける仲間を増やしたい場合

相利モデルと相利開発が有効です。

多くの現場で起きているのは、

「まだ相利開発の段階なのに、選抜型の声かけをしてしまう」

というミスマッチです。


新しい協力者が増えない理由は、

熱意や理念が足りないからではありません。

多くの場合、

「今の目的」と「使っている協力モデル」が合っていないだけです。

協力アカデミーでは、

協力の裾野を広げたい場面では、相利モデルを基本線と考えています。

「参加しやすい」「やってよかった」という相利を丁寧に設計することで、

協力は自然に、そして継続的に広がっていきます。

前の記事へ