2026.02.05
合力の5類型
ー社会は5つの合力でできているー

この動画は(公財)トヨタ財団イニシアティブプログラム(2022年度)の助成にて制作しています
合力(ごうりょく)の5類型
私たちは日々、家庭や学校、会社、地域コミュニティなど、様々な組織の中で誰かと力を合わせて生きています。
しかし、その「力の合わせ方」に、実はいくつかのパターンがあることをご存知でしょうか?
本動画では、「合力(ごうりょく)の5類型」という協力アカデミーのオリジナルのコンセプトを解説します。
「合力(ごうりょく)」とはなにか?
「合力(ごうりょく)」は、聞き慣れない言葉と思われますが、協力アカデミーで使う用語の一つです。

辞書では「人々が力を合わせること」とありますが、協力アカデミーでは、合力を「人々がどのように力を合わせて事をなしていくのか」、「どうやって力をあわせて社会をつくっているのか」、と捉えています。
力の合わせ方、つまり合力を理解することが重要です。
合力の5類型とはなにか?
人の力の合わせ方(合力)には5つのタイプがあります。これを「合力の5類型」と呼んでいます。

5つは、以下の通りです。
①統治 (とうち)
②交換 (こうかん)
③互恵 (ごけい)
④威信 (いしん)
⑤協力 (きょうりょく)
この5つの名称も、協力アカデミーオリジナルです。
私たちの社会は、これらの5つの「合力」が複雑に組み合わさって成り立っています。
一つひとつのタイプを、具体的な組織の例とともに詳しく見ていきます。
①統治
物理的な力による秩序が統治です。一言で言えば「力づく」の合力です。

典型的な組織は、国家で、国家は軍事力や警察力といった物理的な力を用いて、「従わなければ大きな不利益が生じる」と示すことで、合意と合力を生み出します。
典型的な組織: 国家
②交換
相手が欲しいものを提供することで、見返りにこちらの「してほしいこと」をしてもらう。

これが「交換」の合力です。典型的な組織は企業です。
企業は、顧客が求めるニーズに対して、商品やサービスを提供して対価(お金)を得ます。また、従業員に対しては給料(お金)を支払うことで、労働力を得ています。まさに「交換」がベースとなって成立している組織です。
典型的な組織:企業
③互恵
「以前助けてもらったから、今度は自分が助けよう」。
このような「助け合い」の気持ちから生まれるのが「互恵」の合力です。

生協などが「助け合いの精神」を掲げているように、非営利・共益組織のベースとなる考え方です。相手の中に心理的な「借り」を作ることで、いざという時に力を貸してもらえる関係性を築きます。
人間には、誰かから親切にされたら「お返しをしたい」と感じる心理的なメカニズムが備わっていると言われています。
典型的な組織:組合、生活協同組合(生協)など
④威信
「この人についていけば、きっと良いことがあるに違いない」。
そう思わせるような「卓越性」に対して、人々が自ら従い、力を貸すのが「威信」の合力です。

例えば、宗教の教団は、神の卓越性を荘厳な建築物などで示し、信者は死後の救済といったメリットを期待して力を貸します。
また、歴史上の織田信長のようなカリスマも「威信」の一例です。家臣たちは、彼に従うことで将来「一国一城の主になれるかもしれない」という期待を抱き、命を懸けて力を尽くしました。
卓越性は、神秘的な力、お金、伝統、家柄、賢さ、先見性などなど様々です。
⑤協力
ある共通の目的や目標があり、それを達成するために参加者が力を合わせるのが「協力」です。
「何かを成し遂げたい」という純粋な思いが原動力となります。

ある共通の目的や目標があり、それを達成するために力を合わせるのが「協力」です。目的や目標があることが特徴です。協力をベースに組み立てられているのが非営利公益組織です。
環境保全、子育て支援、地域活性化といった社会的な目的の実現を目指すため、参加者が力を合わせていきます。NPOは協力をベースとする組織です。
典型的な組織:NPO、市民活動団体、公益法人など
社会は「合力」の組み合わせでできている
私たちの社会は、この5つの合力の組み合わせでできています。

ここまで5つの類型を典型的な組織を示して見てきましたが、実際の組織や社会は、これらのうちのどれか一つだけで動いているわけではありません。
例えば、ベースが「交換」である企業でも、カリスマ経営者の「威信」によって従業員の士気が高まったり、プロジェクトチーム内で目標達成に向けた「協力」関係が生まれたりします。
しかし、もし給料の支払いが滞れば、従業員は従わなくなり、チームワークも崩壊するでしょう。このことからも、その組織の基盤(ベース)が「交換」であることがわかります。
私たちは、これら5つの「合力」を組み合わせ、また使い分けながら様々な組織を築き、社会を形成しています。5つの「合力」をしっかり使えることが、社会をつくっていくうえで大切です。
5つの合力にはそれぞれ発動条件がある
5つの合力を使いこなしていくためには、この5つの合力の発動条件を理解することが重要です。
5つの合力にはそれぞれ異なる発動条件があります。

①統治: 物理的な力で従わせる
②交換: 相手の欲しいものをあげられる
③互恵: 困っている時に助けてあげる
④威信:従いたくなるような卓越性を示す
⑤協力:双方の目的・目標が実現できる
協力者は、協力者自身の目標(相利)を実現するために、協力します。
相手がしたいことを理解することが重要です。
まとめ
今回は、社会の仕組みを理解するための新しい視点「合力の5類型」をご紹介しました。
5つの合力を知ることで、人々はどうやって社会を成り立たせているのか、その根本的な仕組みが驚くほどクリアに見えてきます。
次は、ぜひ「協力のつくり方~協力の基本フレームワーク」を学んでください。