2026.01.13
【活動報告】内閣府「地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取組モデル調査」第2回研修会にて講師を担当しました
12/19(金)午前・午後「地域の困りごとを相利協力で解決しよう!開催(連続講座 第4回目)
2025年12月19日、内閣府主催の「地域における孤独・孤立対策に関するNPO等の取組モデル調査」第2回研修会がオンラインで開催され、NPO法人協力アカデミー代表理事の松原 明が、研修講師として登壇しました。
参加者は90名。
本研修会は、同モデル調査に採択されたNPO・社会福祉法人等を対象に、年度末に向けて各団体の取組をさらに深めることを目的として開催されたものです。
特に今回は、「多様な関係者との連携をどのようにつくるか」が大きなテーマとして設定されました。
内閣府からの講師依頼と、研修のテーマ

今回、内閣府から協力アカデミーに講師依頼をいただいた背景には、
孤独・孤立対策が「支援者同士の連携」だけでは十分に機能せず、日常生活の中にいる多様な主体との協力関係づくりが、今後ますます重要になっているという問題意識があります。
そこで研修では、協力アカデミーがこれまで全国各地で実践・支援してきた
「協力のテクノロジー」の考え方をもとに、
・異なる価値観・利害をもつ関係者と、どうすれば協力関係を築けるのか
・連携が「形だけ」で終わらず、持続するためには何が必要なのか
といった点について講義を行いました。
中心メッセージ:「協力の肝は、相利開発」

講義の結論は、非常にシンプルです。
協力の肝は「相利開発」である
相利とは、「同じ目的に共感すること」ではありません。
一つの活動を通じて、それぞれの立場の人が“異なるメリット(利益)”を得られる状態を指します。
「正しいことをしているのだから協力してもらえるはず」
「想いを伝えれば分かってもらえるはず」
こうした前提で協力を求めても、なかなか広がらない——
これは多くの現場で共通する悩みです。
そこで重要になるのが、協力を「お願い」ではなく、
『この活動を一緒にやれば、あなたの困りごとが解決しますよ』という“提案”に変えること
そのために、まず必要なのは
自分たちの困りごとではなく、相手の困りごとから考えること
これが、相利開発の出発点だとお伝えしました。
日常生活を支点にした「縦串の連携」という視点
講義では、孤独・孤立対策を考えるうえでの地域の捉え方として、
次のような「4層構造」を紹介しました。

・困窮者
・要支援者(居場所やつながりが必要な状態)
・社会参加活動者
・日常生活者(商店街、学校、病院、不動産屋、町内会、企業など)

多くの支援は、どうしても上の層(困窮者・要支援者)に集中しがちです。
しかし、予防や早期発見を考えると、鍵になるのは日常生活者の層です。
商店街、不動産、病院、学校といった、
「普段の暮らしの中で人と接している主体」とどうつながるか。
支援者同士の横の連携だけでなく、
日常生活から支援につながる縦串の連携をどう設計するかが、
これからの孤独・孤立対策において重要なポイントになります。

事例で見る「相利開発」が機能する瞬間
講義では、相利開発が実際にどう機能しているか、いくつかの事例を紹介しました。
地域猫活動の事例

猫好き、住民、町内会、行政など、それぞれ立場も価値観も異なる関係者が、
不妊・去勢手術や適切な餌やりといった取組を通じて、
猫好き:殺処分が減る
住民:生活被害が軽減される
行政:クレーム対応が減る
という形で、それぞれの「相利」を実現している事例です。
熊本市の居住支援の事例
障害者の住まい確保という課題に対し、不動産業者・保険会社・行政・複数の福祉団体が連携。
保険会社が抱えていた「ロット(数)が少ないと商品化できない」という困りごとに着目し、ネットワークで数を確保することで連携が動き出しました。

結果として、住居確保だけでなく、家賃滞納などの早期発見・早期支援にもつながる仕組みが生まれています。
質疑応答と意見交換から見えた、現場のリアル
質疑応答では、
・生活接点のないひきこもり状態の人へのアプローチ
・行政との連携をどう進めるか
・相利を数値で評価する方法
など、現場感のある質問が多く寄せられました。
また後半の意見交換では、参加団体同士が「多様な関係者との連携」に関するモヤモヤを共有。
「それは自分たちも感じている」「こうやってみたら少し動いた」といったやり取りが行われ、講義内容を各現場に引き寄せて考える時間となりました。
協力アカデミーとして
今回、内閣府の研修講師として登壇する機会をいただいたことは、
協力アカデミーがこれまで取り組んできた“違いを前提にした協力関係の設計”が、
孤独・孤立対策という領域でも求められていることの表れだと受け止めています。
連携は、気合いや善意だけでは続きません。
相手の困りごとを理解し、相利を設計し、持続する形にすること。
今後も「協創の道具箱」では、今回の研修でお伝えした考え方やツールを、
現場で使える形で発信していきます。