
2025.10.14
役割開発フレームワーク
フレームワークの解説
「手伝ってほしい」を具体化する『役割開発フレームワーク』
「誰か手伝ってくれないかな…」
「協力者はいるけど、うまく連携できない…」
NPO活動や地域でのプロジェクト、社内の取り組みなどで、こんな悩みを抱えたことはありませんか?
「何かしたい」という温かい気持ちを持つ人がいても、「具体的に何をすれば良いのかわからない」という状態では、協力の輪はなかなか広がりません。
今回は、そんな悩みを解決し、誰もが関わりやすい「協力の仕組み」を設計するための強力なツール、『役割開発フレームワーク』について、動画の内容を元に分かりやすく解説します。
そもそも「役割開発フレームワーク」とは?
その正体は、「誰が」「何をやるか」を明確にするための、シンプルなリストです。
基本は、下の図のような「やること(ToDo)」と「役割名」がセットになった表をイメージしてください。
やること(ToDo) | 役割名 |
---|---|
食事を提供する | 料理担当 |
イベントの告知をする | 広報担当 |
参加者の出欠を確認する | 事務局 |
役割を洗い出すための2つのアプローチ
このフレームワークを作る上で、動画では2つの強力なアプローチが紹介されています。
①ゴールから考える:最終的に達成したいゴールから、必要な役割を洗い出す方法(SMARTフレームワークを活用)
②実行プロセスから考える:目標達成までの各ステップで、必要な役割を洗い出す方法(戦略構築フレームワークを活用)
特に重要なのは、1つ目の「ゴールから考える」アプローチです。まずはここから始めていきましょう。
STEP1:ゴールから役割を考える(SMARTフレームワークの活用法)
目標設定のフレームワークとして知られる「SMART」。その中の”S”(Specific:具体的に)を活用します。
ポイントは、あなたの活動における「応援してくれる人って、”具体的に”何をしてくれる人だろう?」と考えてみることです。
【事例:子ども食堂】
例えば、「子ども食堂を応援してくれる人を集めたい」という漠然とした思いを、”Specific”(具体的に)にしてみましょう。
- 温かい食事を提供してくれる人
- 子どもたちの勉強を見てあげる人
- いろんな悩み事の相談に乗ってくれる人
このように応援者の具体的な行動が見えてきたら、それを「やること(ToDo)」に変換し、役割名を付けていきます。
応援者の具体的な行動 | やること(ToDo) | 役割名 |
---|---|---|
食事を提供してくれる人 | 食事を提供する | 料理担当、給仕担当 |
勉強を見てあげる人 | 勉強を見てあげる | 学習サポーター |
相談に乗ってくれる人 | 相談に乗る | 相談役 |
いかがでしょうか? 「応援者募集!」だけでは何をすれば良いか分からなかった人も、「週に一度、子どもたちの勉強を見てくれる学習サポーターを募集しています」と言われれば、自分にできるかどうかを具体的にイメージできますよね。
STEP2:実行プロセスから役割を考える(戦略構築フレームワークの活用法)
ゴールに必要な役割が見えてきたら、次はそのゴールに至るまでの具体的なステップごとに必要な役割を考えます。
【事例:NPO法をつくる活動】
例えば、「NPO法に関心がある人を集める」というステップがあったとします。
- ステップの目的:NPO法に関心がある人を集める
- やること(ToDo):研究会やシンポジウムを実施する
- 必要な役割:
- 研究会の企画担当
- シンポジウムの運営担当
- SNSやチラシでの広報担当
- 会場の手配係
- 当日の司会、受付、記録係 など
イベントやキャンペーンなど、具体的な施策を実行する際には、このようにプロセスごとに必要な実務役割を洗い出すことで、抜け漏れなく準備を進めることができます。
作成した役割をどう活かすか?3つのポイント
ゴール起点の役割を優先する
まずはSTEP1で解説した「ゴールから考えた役割」をしっかりと洗い出すことが最優先です。ここが活動の根幹になります。
「協力モデルキャンバス」には代表的な役割だけ書く
協力の全体像を描く「協力モデルキャンバス」というツールがあります。このキャンバスの「役割」の欄には、洗い出した全ての役割を書く必要はありません。「料理担当、相談役、事務局など」のように、代表的な役割だけを抜き出して書き込み、全体像をシンプルに保ちましょう。詳細なリストは、役割開発フレームワークの表で管理します。
仕組みが動くか検証する
役割リストが完成したら、「この人員配置で本当にうまく回るだろうか?」「役割間の連携はスムーズか?」といった視点で、協力の仕組みが機能するかをシミュレーション(検証)してみましょう。これにより、実際の活動が始まる前 문제点を修正できます。
まとめ:さあ、あなたのプロジェクトで実践してみましょう!
今回は、協力の輪を広げるための「役割開発フレームワーク」について解説しました。
- ポイント1: 応援者の行動を「やること(ToDo)」レベルまで具体化する。
- ポイント2: ToDoに分かりやすい「役割名」を付ける。
- ポイント3: 「ゴール」と「実行プロセス」の2つの視点から役割を洗い出す。
この記事を読んで「なるほど」で終わらせず、ぜひあなたの活動に当てはめてみてください。
まずは「あなたの活動で、応援してくれる人にしてほしい具体的な行動」を3つ書き出すことから始めてみませんか?
その小さな一歩が、多くの協力者を巻き込み、あなたのプロジェクトを大きく前進させる力になるはずです。