戦略構築フレームワーク

2025.10.10

戦略構築フレームワーク

フレームワークの解説


「チームで壮大な目標を掲げたものの、具体的に何から手をつければ良いか分からない…」
「メンバーそれぞれが違う方向を向いてしまい、プロジェクトがなかなか前に進まない…」

ビジネスやプロジェクトの推進において、このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

明確な目標達成への羅針盤となるのが、今回ご紹介する「戦略構築フレームワーク」です。

この記事では、チームの力を最大限に引き出し、目標達成を加速させる「戦略構築フレームワーク」について、その作り方から具体的な成功事例までを分かりやすく解説します。


戦略構築フレームワークとは、協力者が効果的に協力できるように目標を達成する手順と作業を表現するための、協力アカデミーオリジナルのフレームワークです。

簡単に言えば、「チーム全員が『いつまでに』『誰に対して』『何を行い』『どう評価するか』を一目で理解できる設計図」のことです。

このフレームワークは、以下の5つの要素で構成されるシンプルな表形式です。

:各ステップをいつ実施するかのスケジュール

戦略テーマ:目標達成までの中間目標(ステップ)

働きかけ対象:各ステップでアプローチする主要なターゲット

すること:ターゲットに対して行う具体的なアクション

KPI (重要業績評価指標):各ステップの成果を測るための指標

このフレームワークがあることで、チームメンバーは常に全体像を把握し、自分の役割とやるべきことを明確に認識しながら、一丸となってプロジェクトを進めることができます。


戦略構築フレームワークは、以下の5つのステップで作成します。

ステップ1: 「戦略テーマ」を設定する

まずは、プロジェクトの根幹となる「戦略テーマ」を設定します。ここでは、目標達成までの道のりを論理的に連鎖させた「ロジックチェーン」という手法を用いるのがおすすめです。最終目標から逆算して、「これを達成するためには、その前に何が必要か?」を考え、全体で4〜6個程度の中間目標(ステップ)に分解します。

ステップ2: 「年」を記入する

次に、各戦略テーマ(ステップ)を「いつ」実施するのか、具体的な年や時期を記入します。これにより、プロジェクトの全体的なスケジュール感が明確になります。

ステップ3: 「働きかけ対象」を決める

各ステップで、主に誰にアプローチするのか、「働きかけ対象」を具体的に設定します。顧客、協力者、メディア、有識者など、ステップごとに最適なターゲットを考えましょう。

ステップ4: 「すること」を具体化する

設定した「働きかけ対象」に対して、どのようなアクションを起こすのか、「すること」を具体的に記述します。例えば、「研究会を開催する」「賛同者を集める」「メディアにプレスリリースを送る」など、行動レベルまで落とし込みます。

ステップ5: 「KPI」を設定する

最後に、各ステップがどれだけうまくいっているかを測定するための「KPI」を設定します。KPIは、プロジェクトの進捗を客観的に判断するための重要な指標です。

ポイント: 売上や顧客数のように数値化が難しい場合は、「〇〇ができた」というように、達成できたかどうかを判断できる「出来事」をKPIにするのがおすすめです。


このフレームワークがどれほど強力か、具体的な成功事例を見てみましょう。

これは、1994年秋からスタートし、「5年以内の立法」を目標としていたNPO法立法の戦略構築フレームワークの事例です。

戦略テーマ:NPO法立法の実現に向けたロジックチェーンを4〜6段階のシンプルなステップにまとめる。

:スタートを1994年、目標達成を5年後の1999年と仮設定。

働きかけ対象

  • ステップ1:NPO法に関心のある人
  • ステップ2:リーダー的団体
  • ステップ3:多くの団体
  • ステップ4:メディア
  • ステップ5:議員・政党

すること

  • ステップ1:研究会やシンポジウムの開催
  • ステップ2:NPO法立法を推進する団体の設立
  • ステップ3:ネットワーク作りと要望書への賛同集め
  • ステップ4:メディアへの働きかけ
  • ステップ5:要望書の提出やロビー活動

KPI

  • ステップ5:賛成する議員や政党の数
  • ステップ1:協力してくれる仲間の数
  • ステップ2:立法団体の会員となったリーダー的団体の数と質
  • ステップ3:ネットワーク加入団体数、要望書賛同団体数
  • ステップ4:新聞社の社説や著名人発言などの露出数

このフレームワークに基づいて戦略を実行した結果、目標としていた5年を大幅に前倒しし、わずか3年半でNPO法を成立させるという大きな成果を上げることができました。


戦略構築フレームワークは、一度作ったら終わり、というものではありません。むしろ、このフレームワークという共通言語があるからこそ、チームは状況の変化に素早く対応できます。

“実際には、戦略をベースにPDCAサイクルを回し、柔軟に状況に対応し、修正していきましょう。”

計画通りに進まないことがあっても、このフレームワークに立ち返り、KPIをチェックし、次のアクションを修正していく。この柔軟なPDCAサイクルこそが、目標達成の鍵となります。

あなたも「戦略構築フレームワーク」を活用して、チームの力を最大限に引き出し、目標達成への最短ルートを走り出してみませんか?