2026.01.29
協力のつくり方
―協力の基本フレームワーク―

この動画は(公財)トヨタ財団イニシアティブプログラム(2022年度)の助成にて制作しています
協力のつくり方~協力の基本フレームワーク
「もっと周りの人に協力してもらえたら、仕事がスムーズに進むのに…」
「良かれと思って提案しているのに、なぜか相手に響かない…」
ビジネスやプロジェクトにおいて、他者との「協力」は不可欠です。
しかし、この「協力」を単なる「お願い」や「頼み事」だと思っていると、相手を動かすことはできません。
本動画では、協力がどのようなメカニズムで生まれるのか、「交換」と「協力」を比較しながら、協力の特徴を明らかにし、そのうえで協力をつくるために最も重要な考え方を解説しています。
本稿では、その要点を整理します。
交換が生まれるメカニズム
「合力の5類型」で、合力には、統治、威信、交換、互恵、協力の5種類があることを説明しました。
今回は、協力アカデミーのテーマである「協力」を掘り下げていきます。
「協力」を理解するためには、まず「交換」との違いを理解することが有効です。

交換とは、相手の欲しいものを提供し、その見返りとして自分の欲しいものを得る行為です。

売買は交換の代表的な例であり、私たちは日常生活の中でこの仕組みに慣れ親しんでいます。
交換とは、相手の欲しいものを見つけ出し、それを提供することで、自分の欲しいものを得ることです。
交換の発動条件は、相手が欲しいものを自分が提供できることです。そのため、交換を生み出すためには、相手が何を欲しているのかを正確に理解する必要があります。
交換をベースとする組織は、企業です。企業は、顧客がどのような欲求を持ち、どのようなニーズを抱えているのかを日々考え続けています。顧客の欲求やニーズを理解することを「顧客理解」と呼びます。
協力が生まれるメカニズム
交換と同じように、協力をつくるうえで最も重要なのは、相手を理解することです。つまり、「協力者理解」です。
相手が協力してくれるメカニズムを見てみます。

協力者は、何らかの問題を抱えています。そして、その問題を解決した先に実現したい目的があります。しかし、その目的に一人では到達できない原因が存在します。
協力者は、その原因を解決し、目的を実現するための方策を探しています。そこに、問題の原因を解決し、目的の実現につながる協力の提案が示されると、ここに協力が生まれます。
ここで重要なのは、協力とは「提案」であるという点です。一方的に協力してほしいことを伝えるだけでは、協力は生まれません。協力者の問題を解決し、協力者自身の目的が実現できる提案である必要があります。
また、その提案は、提案する側にとっても意味のあるものでなければなりません。協力は、双方の目的が実現する関係の中で成立します。
事例:サッカーチーム
ここで、協力がどのように生まれるのかを具体的な事例で見てみましょう。

あなたが地域のアマチュアサッカーチームのキャプテンで、地区大会への出場を目指しているとします。しかし、メンバーが一人足りず、このままでは大会に出場できません。目的は、地区大会に出場してサッカーを楽しむことです。
そこで、近所に住むAさんにチームへの参加を依頼することにしました。

協力関係が成立するメカニズムをAさんの視点で見ていきます。Aさんは健康維持に不安を感じています。運動をして健康を保ちたいと考えていますが、一人では続かず、仲間と楽しく運動できる環境を求めています。これがAさんの問題であり、仲間と運動を続けて健康を維持することが目的です。
Aさんが目的を実現できない原因は、一緒に運動する仲間がいないことです。
ここで、あなたが「サッカーチームに参加して一緒に大会に出ないか」という協力の提案をすると、その提案はAさんにとって問題の原因を解決し、目的の実現につながる内容になります。その結果、協力が成立します。
このように、協力は相手の問題と目的を理解し、その原因を解決する提案によって生まれます。
交換と協力のつくり方を比べる
交換と協力には、似ている点と異なる点があります。
交換では、相手を「欲求」「ニーズ」「制約」「解決策」という構造で理解します。このメカニズムに合う商品を提供することで交換が成立します。

一方、協力では、相手を「問題」「目的」「原因」「解決策」という構造で理解します。協力者が何に困り、何を実現したいのか、そしてそれを妨げている原因は何かを理解し、このメカニズムに合う提案ができれば協力が成立します。

交換においても協力においても、共通して最も重要なのは、相手を理解することです。
顧客理解や協力者理解なくして、交換や協力は生まれません。
まとめ
協力をつくるうえで最も大切なのは、協力者理解です。

協力者の問題、目的、原因、探索のメカニズムを深く知り、協力者理解に基づく協力の提案ができるかがポイントとなります。それにより、協力がつくられ、協力者は自らの目的を実現することができます。
重要なのは、自分が協力してほしいことを一方的に伝えるのではなく、相手の問題や目的など、協力者理解に基づいて、相利が実現できるように、良い提案をすることです。
次は、ぜひ「協力の3類型」を学んでください。