一緒にやっている仲間と価値観やビジョンが合わない時はどうしたらいい? 

2026.01.15

一緒にやっている仲間と価値観やビジョンが合わない時はどうしたらいい? 

—価値観を合わせなくても、協力はつくれる —

この記事は独立行政法人福祉医療機構(WAM)の「令和7年度 社会福祉振興助成事業〈通常助成事業〉」の助成にて制作しています

活動やプロジェクトを進める中で、

「一緒にやっている仲間と価値観やビジョンが合わない」

と感じたことはありませんか。

・想いが噛み合わない

・話し合いが平行線になる

・頑張っているのに、しんどさだけが増えていく

多くの現場では、こうした状態を

「価値観が違うのを何とかしなければいけない」

「もっと理念を共有しないといけない」

と捉えがちです。

しかし、協力アカデミーが提唱する相利主義では、

これは本質的な問題ではないと考えます。


人はそれぞれ、背景も役割も目的も違います。

価値観が違うのは、むしろ自然なことです。

相利主義が問い直すのは、次の一点だけです。

「この活動は、関わるそれぞれの人が

『参加してよかった』と思える設計になっているか?」

価値観を無理に合わせる必要はありません。

要なのは、協力が成立する“構造”を整えることです。

多くの場合、次のいずれかが崩れています。


現場で行き詰まりが起きるとき、

多くの場合、次のいずれかが崩れています。

① それぞれの目的が整理されていない

たとえば、

・Aさんは「子どもの安心」を大切にしている。

・Bさんは「地域の活気」を大切にしている。

これは価値観の対立ではありません。

目的の種類が違うだけです。

② 負担が特定の人に偏っている

・準備や調整をいつも同じ人が担っている

・情報量に差があり、不公平感が生まれている

この状態では、誰でも疲弊します。

問題は価値観ではなく、不公平な設計です。

③ 心理的な圧力や義務感が強すぎる

・断りづらい雰囲気がある

・参加しないと悪い気がする

・「やらされている感」が抜けない

こうなると、どんな理念も支えになりません。


相利主義は、とてもシンプルです。

「関わる人それぞれにとって、利があるかどうか(それぞれの目的が達成できるかどうか)」

この視点で活動を組み立て直します。


相利主義では、

「みんなの目的が同じになる必要はない」

と考えます。

例:

・子どもの安心

・地域の活気

→ 見守りと交流を組み合わせたイベントを企画する

どちらの目的にも利があるため、協力は無理なく成立します。


協力が壊れる最大の原因は、不公平です。

実務的には、次のような工夫が効果的です。

・役割を小さく分ける

・初めての人向けの案内を用意する

・情報を早めに共有する

・「断っても大丈夫」を明文化する

これだけで、空気は大きく変わります。


参加の仕方に選択肢があると、人は主体性を取り戻します。

・役割をいくつか提示して選べるようにする

・「やらない」選択も尊重する

・得意なことを生かせる場をつくる

・小さな成功を共有する

自主性が戻ると、ビジョンの違いは問題ではなくなります。


相利主義では、

「あなた」と「私」だけで話をしません。

子ども、安全、地域、将来世代など、

“みんなが守りたい第三の視点”を軸にします。

この視点を入れると、

個人の価値観の違いを超えて整理が進みます。


1. 全員の目的と困りごと(問題)を書き出す

2. 目的が違うことを前提として受け入れる

3. 両方に利がある共有の活動を考える

4. 負担を小さく、均等にする

5. 参加の選択肢を増やす

6. 小さく試し、相利が成立しているか確かめる

感情的な議論になったときほど、

「誰が何を得て、どこがしんどいのか」

という設計の話に戻ることが重要です。


価値観が違うのは当たり前です。

問題は、協力の設計が今の状況に合っていないこと。

価値観を合わせるのではなく、

“みんなにとって利がある仕組み”をつくり直す。

それだけで、協力は再び動き出します。

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