2026.01.21
組織の5W2Hフレームワーク
— 人とお金のマネジメントを「設計」から捉え直す —

この動画は(公財)トヨタ財団イニシアティブプログラム(2022年度)の助成にて制作しています
「組織を立ち上げたけれど、運営がうまく回らない」
「ボランティアや理事の集め方、関わり方に悩んでいる」
「活動のためのお金の集め方、使い方を整理したい」
こうした状況は、努力や熱意の不足によって生じているわけではありません。
多くの場合、組織運営を支える前提となる「設計」が言語化されていないことに原因があります。
協力アカデミーでは、組織運営、とりわけ非営利組織における
「人」と「お金」のマネジメントを構造的に整理するための枠組みとして、
「組織の5W2Hフレームワーク」を提案しています。
本稿では、解説動画の内容をもとに、
このフレームワークの考え方と使い方をダイジェストとして整理します。
より詳しい背景や解説は、動画をご覧ください。
組織の5W2Hフレームワークとは
組織の5W2Hフレームワークは、協力アカデミー独自の設計ツールです。

※上記の空欄のフレームワークは組織の5W2Hフレームワークの動画再生ページからDLできます。
以下の7つの要素と、2つの視点を組み合わせて構成されています。
【7つの要素】
Who(誰に、誰から)
What(どういうお金(名目)で)
Why(なぜ、何の理由で)
When(いつ)
Where(どこで)
How(どのように)
How much(いくらで)
【2つの視点】
RUN・ラン(運営・支出)
GAIN・ゲイン(獲得・採用)
このフレームワークのポイントは、
組織運営における意思決定の順序と、抜け落ちやすい論点を可視化するための設計図として活用することです。
非営利組織における「人」と「お金」の特徴
非営利組織では、営利組織と同じマネジメント手法がそのまま通用しません。
特に大きな違いが現れるのが、「人」と「お金」です。
人の側面では、給与による交換モデルが使えないケースが多く、
理事やボランティアなど、無給で関わる人の参加動機や負担を設計する必要があります。
お金の側面では、利益最大化ではなく、
ミッション達成に必要な活動を支えるための収支設計が求められます。
「支出を決め、それを稼ぐ」という設計順序
動画の中で強調されている重要な考え方が、
「支出を決め、それを稼ぐ」という順序です。
これは、収入の見込みから活動を決めるのではなく、
まずミッション達成に必要な活動とコストを定義し、
その支出を賄うための獲得手段を後から設計する、という考え方です。
この順序を誤ると、
人に無理な負担が集中する。
お金の集め方が場当たり的になる。
といった問題が生じやすくなります。
▼この考え方の詳しい解説は動画で確認できます。
5W2Hを使った「お金」の設計(RUNと GAIN)
まずは「RUN(支出)」側を設計します。

Who:誰に支払うのか(例:仕入先、スタッフ、大家など)
What:どのような名目の支出か(例:材料費、人件費、事務所賃貸料など)
How much:どの程度の金額か(例:年間30万円くらい
Why:なぜ必要なのか(例:子ども食堂の運営費)
When:いつ発生するのか(例:毎月月末)
Where:どこで使われるのか(例:子ども食堂で)
How:どのように支払うのか(例:銀行振込)
これにより、運営に必要な条件とキャッシュフローが明確になります。
次に、「GAIN(獲得)」側を設計します。

What:どのような獲得か(例:寄付金、会費、補助金など)
Who:誰から得るのか(例:地域の住人、地元企業、会員、行政など)
How much:どの程度必要か(例:年間30万円)
Why:なぜ関わってもらうのか(例:地域の子どもが健全に育つため)
When:いつ獲得するのか(例:年4回の募金キャンペーン、補助金申請時期)
Where:どこで接点を持つのか(例:寄付サイト、メルマガ、チラシ、行政窓口など)
How:どのような手段で獲得するのか(例:SNS告知、寄付サイト誘導、補助金申請など)
RUNで定義した運営や支出を基準に、それを支えるGAINを設計することが重要です。
人のマネジメントにも5W2Hを適用する
このフレームワークは、お金だけでなく「人」にも同様に適用します。
誰が、どの役割を担うのか。
どのような負担が発生するのか。
なぜその関わり方が必要なのか。
どのようなメリットがあるのか。
これらをRUN(運営)と
GAIN(採用)の両面から整理することで、
属人的になりがちな人の関わり方を、設計として扱うことができます。
フレームワーク活用のポイント
組織の5W2Hフレームワークには、埋める順序に決まった正解はありません。
組織の状況に応じて、考えやすいところから整理して構いません。
重要なのは、
RUNとGAINを必ず対応させて考えること。
「なぜそれが必要か」を省略しないこと。
整理した内容は、
協力モデルキャンバスなどの別ツールと組み合わせることで、
組織運営の全体像を把握しやすくなります。
▼フレームワーク全体の解説は動画をご覧ください。
まとめ
組織運営が不安定になる原因は、
人やお金の問題そのものではなく、設計が言語化されていないことにあります。
組織の5W2Hフレームワークは、
非営利組織における人とお金のマネジメントを、
感覚や善意ではなく、構造として捉え直すための道具です。
動画とあわせて活用することで、
組織運営の土台をより確かなものにすることができます。